ヴェネチア発、地獄の(?)夜行列車サバイバル!ナイトジェットで行くウィーンへの道

旅行・観光

 チャオ!ベルギー在住のカズ🐕です!

前回のヴェネチア編では、水の都の美しさに心を奪われ、まるでおとぎ話の世界に迷い込んだような時間をお届けしました。しかし、旅には光があれば影があるもの。今回は、そのロマンチックな余韻をすべて粉砕する、「スリルと苦悶の夜行列車サバイバル」の全貌を公開します。

行き先は、音楽とカフェ文化の聖地、オーストリアの首都ウィーン。優雅な旅路を想像していた私を待ち受けていたのは、欧州鉄道の「洗礼」とも言える極限状態の空間でした。

なぜ「夜行列車」を選んだのか?

 そもそも、なぜ飛行機や高速鉄道ではなく、わざわざ夜行列車を選んだのか。そこには日本人特有の**「夜行列車への深い憧れ」**がありました。

かつての日本では、「北斗星」や「トワイライトエクスプレス」、「カシオペア」といった豪華寝台特急が列島を駆け抜け、多くの旅人の夢を乗せていたそうです。しかし、新幹線や格安航空(LCC)の台頭により、現在定期運行されているのは「サンライズ瀬戸・出雲」のみ。今や日本の夜行列車は、乗りたくてもチケットが取れない「絶滅危惧種のプラチナチケット」となってしまいました。

「欧州なら、あの失われた旅情を味わえるはず!」 そんな期待に胸を膨らませ、私はヴェネチアの夜へと踏み出したのです。

欧州夜行列車の救世主「ナイトジェット」とは?

 今回乗車したのは、オーストリア連邦鉄道(ÖBB)が運行する**「ナイトジェット(Nightjet)」。実はこれ、鉄道ファンにとっては涙が出るほどありがたい存在なのです。また、僕も散々色々なブログでこの夜行旅を見てきました!

🎫 予約はこちらから(ÖBB公式サイト)

https://www.nightjet.com/ ※数ヶ月前から予約可能です。私のようなサバイバル体験をブログのネタにしたい猛者は、ぜひ勇気を持って「6人部屋」を選んでみてください。

2010年代半ば、ヨーロッパ各地で夜行列車は廃止の危機に瀕していました。ドイツ鉄道などが撤退を決める中、オーストリア連邦鉄道がその路線を引き継ぎ、ブランドを一新して誕生させたのがこのナイトジェットです。 「環境に優しい旅」が見直されている昨今、エコでスマートな移動手段として、今や欧州全土で復活を遂げた「夜行列車の救世主」とも呼ばれる存在。そんな輝かしい歴史を持つ列車への乗車に、私の期待は最高潮に達していました。

出発:さらばヴェネチア、さらば安眠

出発の地は、ヴェネツィア・サンタ・ルチア駅(Venezia S. Lucia)。時刻は21:05。 ホームに滑り込んできたのは、深いネイビーに星空をあしらったロゴが光るNJ 40236便です。

オレンジ色の街灯の下、静かに佇む車体を見て、私は確信していました。「これぞヨーロッパの旅。寝ている間に国境を越え、目覚めればウィーン。宿代も浮かせられてなんて効率的で情緒的なんだ!」と。

しかし、その期待はコンパートメントの重いドアを開けた瞬間に、物理的に打ち砕かれることになります。

6人部屋という名の「テトリス空間」

 今回予約したのは、最もリーズナブルな「クシェット(簡易寝台)の6人部屋」。 ドアを開けると、そこには絶句するような光景が広がっていました。

「狭い。とにかく、狭すぎる……!」

この背もたれも変形して2段目となります。写真では見えづらいですが3段目はすでに上にあります。左右の壁に3段ずつ、計6つのベッドがそびえ立つ室内。通路の幅は、人間が横歩きでやっと通れるレベルです。日本の「サンライズ」の開放的なノビノビ座席を想像していた私にとって、それはもはや「縦に積み上げられた棚」でした。

荷物との同居:もはや愛着を超えた何か

 この旅で最大の敵となったのが、「荷物の置き場所」です。 通常、大きなスーツケースやリュックなどは座席の下や棚に置くものですが、6人がフルで乗車するとそんなスペースは一瞬で埋まります。しかも、今回は運悪く(?)、同室のメンバーもフル装備の旅行者ばかり。

結果としてどうなったか。 「自分のベッドの足元、あるいは横に、リュックを抱いて寝る」という、文字通りの添い寝スタイルを強制されました。自分は足元に置いてなくなくその上に足を置くことに 「荷物が重いんじゃない、これは旅の思い出の重さなんだ……」と自分に言い聞かせ、狭いベッドの上でエビのように丸まり、スーツケースと愛を育みながら眠りにつきました。

トイレ・洗面事情:シャワー?それは幻想です

「寝る前にシャワーでさっぱりして、パジャマに着替えて……」なんて妄想は、乗車3分で捨て去りました。 この車両にあるのは、「最低限のトイレ」と、ボタンを押している間だけ水がチョロチョロと出る「極小の洗面台」のみ。

ガタゴトと激しく揺れる車内で、小さな鏡に向かって歯を磨く姿は、まるで荒波を行く漁船の乗組員。 顔を洗う際も、ちょっと油断すれば水が周囲に飛び散り、自分も床もびしょ濡れになります。全神経を指先に集中させ、一滴の水を無駄にしない精神。この不便ささえも「旅の醍醐味」と笑い飛ばせる強靭なメンタルが、ナイトジェット攻略には不可欠です。

悶絶の朝食タイム:天井とのヘッドバッド合戦

 翌朝、ウィーン到着が近づくと、車掌さんがパンと飲み物のセットを運んできてくれます。 夜明けの車窓を眺めながらの朝食。字面だけ見れば最高に優雅ですが、現実は過酷でした。すみません、写真を撮るのもキツく、、、

「天井が低すぎて、垂直に座れない」

私は上段のベッドでしたが、天井(あるいは上段の底)までの距離が数十センチしかありません。 朝食を食べようと勢いよく上体を起こした瞬間、「ゴンッ!」という鈍い音が車内に響き渡りました。ずっと胡座をかいて頭を屈んだ状態が続きます。

結局、猫背を極限まで極めた「π(パイ)」のようなポーズで、膝の上にトレイを乗せ、パンを齧ることに。ウィーンの優雅なカフェ文化を前に、私は「背筋を伸ばして椅子に座れることの幸せ」を、涙ながらに噛み締めていました。これは本気です。

総括:快適な旅を求める皆様への遺言

約11時間の格闘の末、午前8:00ごろ。列車は無事にウィーン中央駅(Wien Hauptbahnhof)に到着しました。 ホームに降り立ち、朝日を浴びながら思いっきり背筋を伸ばした時の解放感!脊椎が一つずつ元の位置に戻っていくような快感は、この旅一番のハイライトだったかもしれません。

もし、皆さんがこのルートを旅するなら、私からのアドバイスは一つです。 「迷わず、4人部屋か、個室(コンパートメント)を予約してください」

数千円、あるいは一万円程度の差額で、以下のものが手に入ります。

  • 人間としての尊厳
  • スーツケースを床に置ける自由
  • 「垂直に座れる」という奇跡

まとめ

 狭い、眠れない、座れない。三拍子揃った過酷な旅路でしたが、ウィーン中央駅の近代的な看板を見た瞬間、不思議とすべてが「最高のネタ」に変わりました。これだから、海外の鉄道旅はやめられません。苦労した分だけ、目的地の空気が美味しく感じるものです。実はこれで懲りると思いきや、この時すでにポーランドからチェコの夜行も予約ずみでした笑

さて、満身創痍でウィーンに降り立った私。 次回は、「オーストリア・ウィーンの旅」をお届けします。

狭い車内から一転、今度はウィーンの街を歩き倒します!お楽しみに!

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